柳絮(りゅうじょ)
GWは退職されたM先生の慰労会ということで湯布院に出かけた。
私は初めてであったが、天候もよく、人も多かった。磯崎新設計の駅舎もさることながら、由布岳の山容や金鱗湖から流れ出る小川、その両側に並んだ温泉宿の風情もなかなかよかった。民芸を主体とした土産物屋や雑木林のなかを散策しながら、金鱗湖まで歩いて行った。
湖畔に佇んでいるとき、M先生が「あっ、柳絮が飛んでいる」といわれた。それは湖畔に植わった柳の木から飛んでいる綿毛であったが、それを柳絮(りゅうじょ)というのだとは知らなかった。
ネットで調べてみると、中国は街路樹に柳が使われており、漢詩の題材にもよく出てくるという。漢詩では「柳」は「別離」の象徴で、旅などで別れる人々が柳の 枝を折り、送りあって別れを惜しんだともいう。柳絮を題材にした恋歌もあるということだが、ネットでは下記の詩がよく紹介されていた。
和孔密州五絶 東欄梨花 蘇 軾
孔密州の五絶に和す 東欄の梨花
梨花淡白柳深青 梨花(りか)は淡白にして 柳は深青なり
柳絮飛時花満城 柳絮(りゅうじょ)飛ぶ時 花は 城に満ちたり
惆悵東欄一株雪 惆悵(ちゅうちょう)す 東欄 一株(いっしゅ)の雪
人生看得幾清明 人生 看(み)得るは幾(いく)清明(せいめい)か
・柳絮=白い綿毛をもった柳の種子が雪のように散るさま。
・惆悵=恨み嘆く、いたみ悲しむこと。
・一株雪=雪のような白い花を咲かせている一本の梨の木。
・清明=二十四節気の一。三月節気。今の四月五日頃。万物清く陽気になる時期という意。
蘇 軾(そ しょく)は宋代第一の詩人。名文家で、蘇 東坡とも呼ばれている。代表作に「 春宵一刻 値千金・・・(春夜)」がある。
湯布院はある種、郷愁を誘う雰囲気がある。由布岳が目の前に聳え、小川や雑木林、民家風の温泉宿など、山里という地理的環境を活かした街創りををしているのであろう。
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