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2013年1月13日 (日)

ふたつの詩集

現代詩は難しいといわれる。
しかし、詩を読むことは世界を読むことと同じだと思っている。
この世の中は、そう分かりやすいことばかりではない。
詩が滅んだら、世界も滅ぶだろう。
昨年末に仲間が詩集を出した。
『小景有情』木下貴志男
『海の憂鬱』佐藤純一郎
木下は63歳、佐藤は28歳である。

Img_20130113_0002_4
そのふたりが宮崎の「日差し」をどうどらえているか。
・・・
田の中に 生まれたばかりの一匹の蝌蚪
ものうげにからだをくねらせているのは
やわらかな日差しのせいだ
(注)蝌蚪:オタマジャクシ         
         木下「風 棚田を渡る」より
・・・
━もはや太陽さえも その温和な光を憩わせることのない
虚ろな空洞をいくつも持った亡骸となった私━
         佐藤「牧歌(夜明けの埋葬)」より
木下は「ものうげ」が「やわらかい日差しのせいだ」といい、佐藤は「温和な光」が「虚ろな空洞」をつくっているという。
世代の違いこそあれ、「宮崎の明るい太陽」を肯定的にはとらえていない。
ふたりの表現を通しても、一般に流布している宣伝文句とのズレが意識できる。
その重層性こそが豊かな地域環境を作っていくと思っている。
やはり、詩は読まれなければならない。

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